トラウトとは何か

質 問
「トラウトサーモン」とはどんな魚か。/最近スーパーなどでよく見かける「トラウト」とは何か。

回 答
 サケ科サケ属ニジマス。ドナルドソン(アメリカのドナルドソン博士が作った品種)やスチールヘッド(降海型、海に下るもの)、これらを改良したものなど、成長がよく大型になる品種。チリ、ノルウェーなどで養殖され、主に冷凍フィレ(三枚におろしたもの)やドレス(頭、内臓を取り除いたもの)で輸入される。身の色はピンクがかったオレンジで、味もくせが無く食べやすい。切り身で店頭販売されるほか、外食産業などでも利用されている。市場やスーパーなどではトラウトやサーモントラウトと呼ばれている。

解 説
  現在、トラウトやトラウトサーモンとして入荷するものはすべて養殖されたニジマスである。チリやノルウェー、タスマニアなどでは成長のよい品種を主に海中養殖している。現地でフィレやドレスに加工され冷凍して出荷される。近年輸入量は増加しており、2000年には約5万7千トンであった。
 ニジマスには、海に下る降海型と一生淡水で生活する陸封型がいる。陸封型は90cm、降海型は110cmぐらいまで成長する。日本で養殖または放流されたものはすべて陸封型で、一般に小型(30cm)である。体形はほかのサケ類と大きな違いはない。体は銀白色で背面は緑がかり、側線にそってピンク色の帯がある。体(特に背面)、背鰭、脂鰭、尾鰭には小黒点がある。このような体色の特徴から、切り身になっていても、ほかのサケ類との識別はある程度可能である。
 ニジマスは、英名の rainbow trout を直訳してつけられた和名。日本には明治9年(1876)にアメリカから移植された。現在では熱帯域を除く世界中で養殖や放流が行われているが自然分布はカムチャッカ半島からアラスカ南部、カリフォルニア南部までの北太平洋である。
 少し前の本などをみると学名に Salmo gairdneriが使われているが、最近のものでは Oncorhynchus mykiss となっている。これは近年の研究により、アメリカ太平洋側に分布するニジマス S.gairdneri とカムチャッカ半島のカムチャッカン・トラウト S.mykiss が同種であることがわかり*、また属もタイセイヨウサケ属 Salmoからサケ属 Oncorhynchusに移されたためである。
*国際的な規則により、古い方の学名 mykissが使用されることになった。

備 考
トラウト(trout)はマス(マスは本来サクラマスのこと)と訳される場合が多いが、本来はヨーロッパの Salmo trutta (陸封型をブラウントラウト、降海型をシートラウトと呼ぶ)のことであった。現在、ブラウントラウトをはじめ、〜トラウトと呼ばれる魚は6種類以上いる。これらの魚は、同じサケ科であるがタイセイヨウサケ属、イワナ属、サケ属と異なるグループに属している。ヨーロッパの人たちが世界に進出するにつれ、ヨーロッパのトラウトに似ている別種の魚を見て、〜トラウトと名付けたためである。

参考文献
井田 齋・奥山文弥. 2000. サケ・マス魚類のわかる本. 山と渓谷社, 東京.
おさかな普及センター資料館. 2002. おさかな情報 No.17.
長澤和也・鳥澤 雅(編). 1991. 漁業生物図鑑 北のさかなたち. 北日本海洋センター, 札幌.
中坊徹次(編). 2000. 日本産魚類検索−全種の同定−第2版. 東海大学出版会, 東京.

(注・提供資料から一部アレンジ)
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